2019.08.11*人狼ジャッジメントRPプロローグ

(原案 空色/文章 Anderela.)


~ ○○ side ~


ある日、郵便箱を見ると、真っ黒の封筒に赤い封蝋のされている招待状らしき封筒が一通届いていた。

何の招待状だろうと開いてみると、そこにはある宿泊所の宿泊券と1通の手紙が。

何かのキャンペーンにでも当選したのか?と手紙を開けてみると、


「親愛なる皆様へ

この度は弊社のキャンペーンにご登録頂き、誠にありがとうございました。

厳正なる抽選の結果、皆様は「人狼島ツアー」が当選いたしました。

誠に勝手ではありますが、本キャンペーンはキャンセルができませんので、必ずご参加いただきます様お願い申し上げます。

また、今回「人狼島」に宿泊いただくということでその名にちなみ、皆様には3泊目の夜に「人狼ゲーム」に参加していただきます。

こちらも皆様ご参加必須となりますのでご了承ください。

この夏、人狼島で良い思い出を―――――――」


こんなキャンペーンにいつ登録しただろうか?と疑問に思いつつも、特に予定もない夏季休暇にもってこいな招待状だった。


この時はまだ、あのような悲劇が起こるとは思いもせず・・・。



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今回のツアーは3泊4日。夏季休暇をいい感じに消費できる日程だ。

「人狼島」は、島の形が狼に見えることから昔話にも出てくるほど有名な島で一見奇妙な島ではあるが、海の水質は透明度が高くダイバーにも人気だ。

この島に行くには近くの港から1時間ほど船に揺られなければいけない。

人狼島は電波塔が及んでなく圏外ということだが、どんどん離れていく港を眺めながら自分のたいくつな現実からも遠のいていくようで人狼島に着くのがとてもわくわくした。

人狼島での過ごし方は選択でき、宿泊所にはシュノーケリングやスキューバダイビング、BBQの用意があったり、島は洞窟や鍾乳洞探検、夜は星空ウォッチングと、3泊4日ではなかなか堪能しきれない程のレジャーアイランドだ。


そんな中でも、必ず最後の夜には全員ペンションに集合し、共に晩御飯を食べ、人狼ゲームをしなければならない。

人狼ゲームはそこまで詳しいわけでもないが、知らないわけでもない。要は、狼役(嘘つき)が誰か、を探せばよいのだ。


そして今日はついに人狼島で過ごす最後の夜。

1日目は移動と島の散策で終わってしまったが、2日目は朝早くに鍾乳洞探検に行き、夕方頃にひと眠りした後、夜中に起きて星空を見に行った。

空が開けて見える高台の丘に寝転んでいると、ツアー客の〇〇もここに星空を見に来たそうで出くわし、明けの明星を見るまでにお互いの色んな事を語り合った。

3日目は朝方まで星を見ていたので昼頃に起き、軽くシュノーケリングをして海底の魚を見る事が出来た。

明日の昼過ぎには本島に戻る船が迎えに来るので、そんな日常から隔離され充実した人狼島とも明日でサヨナラだ。


宿泊所である屋敷の会食会場につくと既に数人着席していた。

総勢13人参加しているというこの人狼島ツアー。

星空を一緒に眺めた〇〇や、鍾乳洞を探検しているときに出会った〇〇や〇〇は顔見知りだが、大半は初めて顔を合わせる面々だ。

席に座るとそこには皿の横に1枚の封筒が置いてあり、こう記してあった。

“人狼ゲームの際に使用するのでそれまでは開けないでください。”

特に気にする事もなく、運ばれてきた美味しい食事に舌鼓を打ちつつ、席が近くの人とこのツアーでしたことを語り合い、楽しい会食だった。


食事も終わり、美味しいお酒を飲みながら団らんしていると、支配人のモブ爺が話し始めた。


「皆さん、3泊4日の人狼島での休暇はいかがだったでしょうか?この島での思い出をぜひ日常に帰っても忘れないで頂けると幸いです!今後とも弊社〇〇を何卒よろしくお願いいたします!」


モブ爺の挨拶に拍手をする一同。

改めて聞いてもピンとこない会社名。まあ今はどうでもいいか。


「そして、今回この人狼島での最後の思い出として皆様には今から人狼ゲームを行っていただきます!人狼ゲームは皆さんご存知でしょうか?ここから先は今回ゲームマスターを務める弊社のフランクが説明いたします。」


モブ爺に紹介され、出てきたフランクという男はこの屋敷に似つかわしい赤い正装で現れた。まさか赤いシルクハットを着こなすような人が現代に居るとは。


「皆様、初めまして。フランクと申します。ここらから先は私がゲームマスターとして人狼ゲームの説明をさせていただきます。皆様に最高のゲームを楽しんでもらうために尽力いたしますので、分からないことがあれば何でもお聞きください。」


物腰柔らかに説明し始めたフランクが言うには人狼ゲームは、市民陣営と人狼陣営、そしてその他の陣営に分かれてそれぞれの役職を全うしながら勝利を目指す、というようなゲームだ。

ゲームの設定として、毎日昼の時間に全員で話し合いをして疑わしい人を1人「処刑」、夜の時間は人狼役の人が1人「襲撃」する人を決める。


そして演出として、夜の時間には部屋の電気が消えますがご心配されませんように、と一定の説明を終えたフランクは、


「それでは、皆さん。早速ゲームをスタートしてみましょう。こちらに置いてあるタイマーに沿って昼の時間・夜の時間を進行していきます。」


フランクがタイマーのスイッチを押した。


「それでは、人狼島で最後の思い出を!

――――――夜になりました。皆さん、目を閉じてください。」


フランクの言葉と同時に部屋の電気が消えた。


人狼ゲームがスタートした。



――――――――――――――――――――――――――――――――――



「目を開けてください」


フランクの声と共に目を開けると、部屋は明るくなっていた。

しばらく暗闇で目をつぶっていたので、目に光が染みて何度か瞬きをしていた時だった。


「きゃああああ!!!」


つんざくような女性の悲鳴。


何事か、と思ったが、光に慣れた目に飛び込んできたものは、


―――――――モブ爺が死んでいる。


先ほどまで陽気に喋っていたはずのモブ爺が血まみれで横たわっていた。


その時、横に座っていた〇〇が


「まさかこれは50年前の事件と同じ事を・・・?」


と言ったのが聞こえ気になったが、今はそれどころではない。



「モブ爺は人狼に襲撃されました。」


人が目の前で死んでいるというのに、フランクはまるでゲームの進行をしてる如く淡々と述べこう言い放った。


「皆さん、いいですか!人狼ゲームは時間が決まっています!いつまでも嘆いてる暇はないのですよ?人狼を見つけなければ!それではみなさん、誰がモブ爺をこのような姿にしたのか、話し合って決めてください。皆さんで決めた方を皆さんで処刑していただきます!」


フランクの言葉に一同は息をのんだ。必死に声を抑えながらすすり泣く声だけが響く。


そしてモブ爺の、人に殺されたような傷ではない、そうこれはまるで獣にやられたような惨殺死体を見て、もしやこの部屋の中に人狼がいるのではと疑心暗鬼になる一同。


人が死んでいく、毎晩誰かを殺さなければならないという状況の中で、

――――――――――――人は正常な判断を下しながら「人狼」を見つけ出せるのか。





――――――――――――――――――――――――――――――――


<役職・設定>

<市民陣営>占い師/狩人/パン屋/市民4(呪われ1)

<人狼陣営>能ある人狼3/狂信者

<その他陣営>純愛者

<その他陣営>殉教者



◆人狼島

当時の富豪たちが、狼の形に見える島ということで100年前に人狼ゲームを主に娯楽施設として購入した島。

建築当初は観光客で賑わい、毎晩各所で人狼ゲームが行われていた。

50年前に凄惨な殺人事件があり、それ以降封鎖されていた島。

今年で設立100年となり今回のツアーの為にオープンされた。

◆50年前の事件

人間として生きていた人狼が富豪に騙されて、人狼島で本物の人狼として見世物にされ、ゲームの最中に本当に人を殺してしまい、そしてその人狼も殺された。

富豪たちが人狼を連れてきて起きてしまった事件と世に知られたくなかった為、表向きには人狼ゲームで負けた人が腹いせに人を殺してしまったとなっている。

◆簡単な設定

・人狼/50年前の事件を根に持っていた人狼。この人狼島で人間に復讐する為に参加している。

例)50年前に殺された人狼の子孫や、50年前の事件の現場に居た、50年の前の事件が同族として許せない…等

・狂信者/50年前の殺人事件を調べているうちに人狼に心酔してしまった人間。

誰が人狼か知っており、人狼のためなら人を欺くことも惜しまない。

・殉教者/自殺志願者。人狼島で自殺をするためにツアーに参加したが死にきれずツアー最終日まで生きてしまった。自分が死ぬためなら他人を巻き込んででも死にたい。



<時系列・ロールプレイングの流れ>



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